入江 一友
アジア太平洋経済協力(APEC)は、アジア太平洋の21の国・地域(エコノミーと呼びます)が参加する経済分野における協力の枠組みです。APECの組織としては、首脳会議、閣僚会議、分野別大臣会合などがありますが、エネルギー分野では、エネルギー大臣会合(EMM)の下でエネルギー作業部会(EWG)が活発に活動を行っています。
アジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)は、これらの活動を支援するために、APEC大阪会合で採択された行動指針にのっとり、1996年、東京に設立されました。
APERCの主要な目的は、域内のエネルギー需給動向と将来予測、エネルギー市場の発展、各種政策課題への対応などについての分析・研究を通じて、APEC加盟各エコノミーにおけるエネルギー問題に関する広い共通理解の醸成と課題解決への貢献を目指しています。また、APERCはAPEC地域のエネルギー研究にあたって必要とされるデータベースの整備、研究能力の向上のための人材育成事業も実施しています。
近年、APEC地域、とりわけアジア地域は、飛躍的な経済成長を遂げており、これに伴い、エネルギー消費の伸びも極めて高く、APEC全体では世界エネルギー消費の約60%を占めています。一方、近年、世界における石油供給の不安定さと価格の変動、シェールガス革命の進展、再生エネルギー導入の加速など、エネルギーを取り巻く環境は大きく変化しています。
APERCとしては、APEC地域が抱えるエネルギー・環境問題をめぐる諸課題の解決のため、エネルギーの効率的利用、低炭素エネルギー供給の実現、エネルギー安定確保に関する域内協力などをさらに深化させ、APERCへの期待に的確に応えられるよう全力を尽くす所存です。
APERCは求められる使命を全うするため、日本を始めとするAPEC加盟各エコノミーから様々なご助力をいただいており、拠出金の提供、優秀な招聘研究員の派遣、調査研究活動への支援等に対し、この場を借りて、心からの謝意を申し述べます。